元銀行員が考える「かぼちゃの馬車」不動産投資トラブル

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サラリーマンの不動産投資は慎重に!?

銀行と不動産

今回は不動産投資を巡るトラブルについて考えます。

突然ですが、皆様は借入金の「資金使途」について考えたことありますか?

ざっくり「資金使途」とは、お金を借りて何に使うのか?のこと。

銀行が融資審査を行う上で最初にチェックする基本事項の1つです。

で、何に使うのか?

資金使途とその融資残高に注目すると、賃貸物件の購入や自宅の購入など「不動産」に関わる融資が高いシェアを占める!

なんて銀行、実は多いかと思います。

まぁ、不動産融資は1口あたりの貸付金額が高額かつ長期融資になるので当たり前かもしれませんが・・・

銀行にとって不動産融資は主力商品の1つ。

融資残高を増やしたいなら不動産融資を実行することが手っ取り早いのです。

従って、私も現役時代は建築業者とタッグを組み、富裕層向けに「節税対策」として不動産融資をアプローチしていたワケであります。

がっ・・・!!

ここ最近、「不労収入」「副業収入」の源泉として、一般的なサラリーマンの方から「不動産投資」の融資相談を持ちかけられる機会が増えていました。

不動産投資で「不労収入」「副業収入」を得る。

憧れる人は多いと思いますが、個人的にはオーナーを食い物にするスキームが目立ち、良いイメージがありません。

そこで、今回はホットな事例「かぼちゃの馬車」を参考に不動産投資の問題点について考えます。

不動産投資を巡るトラブル

「かぼちゃの馬車」とは?
崩壊したサブリース契約

最近、「かぼちゃの馬車」を巡る投資トラブルが話題ですね。

かぼちゃの馬車は、スマートデイズが手掛ける「女性専用シェアハウス」の不動産投資事業。

主な特徴は以下の通りです。

◎ 女性をターゲットにシェハウスを建築。
◎ 一括借り上げ(サブリース)形式でオーナーを広く募集。
◎ 入居女性を人材派遣会社に紹介する事業も手掛ける。

また、不動産投資は多額のイニシャルコストを要しますが、自己資金を用意できないオーナー希望者でも、「スルガ銀行」「フルローン」を組むスキームが人気を集め、会社員を中心に契約数を伸ばした様です。

しかし、実態は厳しく管理物件全体の入居率は50%以下、人材紹介ビジネスも空振り・・・

また、実勢価格にスマートデイズの儲けを上乗せした価格で物件を販売する中、スルガ銀行が新規融資を引き締めたことで収支が急激に悪化・・・

結果的にサブリース契約で約束した賃料を支払えなくなり、現在の騒動に至りました。

主な問題点

今回の事例について問題点を元銀行員の目線で考察します。

問題点①:資金使途

そもそも・・・

「シェアハウス」って今後、需要があるの?

日本の人口は減少の一途をたどると言われ、そう遠くない未来、人口が1億人を切ると言われています。

一般的な賃貸マンションでさえ家賃を下げ、「フリーレント」で入居者を募集する物件が増えています。

また、「空き家」も増える続ける中、トラブルが多いとされるシェアハウスが選ばれるのか?

私の場合、資金使途がシェアハウスの時点で融資を断るかも・・・

問題点②:販売価格

一般的な相場に対して販売価格が妥当であるか?

「キックバック」「売買価格改ざん」などの疑いは?

この手の投資物件は相場より割高な物件が多かったと記憶しています。

また、中には自己資金など「見せ金」作りを協力する業者もいます。

無論、不当に高額な物件の融資はお断りします。

問題点③:期間

返済期間は建物の「耐用年数以内」が好ましく、耐用年数以内でキャッシュフローが出ない場合は融資を断る可能性が高まります。

新規融資なのに実質的には「貸出条件緩和債権」と変わらないし・・・

問題点④:返済財源

借入金を利益で償還できないと判断すれば融資を断ります。

この手の販売会社は利回りを高く見せるために「想定家賃」を高く見積もるケースが実に多いので業者が作成したレントロールや事業計画はあてになりません。

立地、入居率、家賃設定、租税公課など返済財源に問題点がないか検証します。

また、サブリース契約の場合はサブリース会社の信用力を審査します。

問題点⑤:保全

借入金額に対して「担保価値」がどれ程あるのか?の判断です。

そもそもシェアハウスって需要が限られる分、流通性に乏しいのでは?

となると建物の資産価値って・・・土地だけ!?

さて、以上がこの手の不動産投資に生じる主な問題点です。

総じて、かぼちゃの馬車への融資は余程、属性が良い方にゴリゴリお願いされない限り、謝絶すると思います。

ではなぜ、スルガ銀行が融資したのか?

理由は単純に・・・

「デフォルトリスクに見合った金利を取れる」

の一点に尽きると思います。

スルガ銀行の融資スタンスは、「貸出金利息」の収益を見れば一目瞭然です。

【経常収益と貸出金利息(平成29年3月期:連結)】(単位:百万円)

金融機関 経常収益 貸出金利息 ※①
商工中金 195,376 119,142 60.98%
日本政策金融公庫 610,684 253,021 41.43%
コンコルディア・FG 329,476 146,355 44.42%
静岡銀行 249,804 95,298 38.14%
千葉銀行 227,811 106,049 46.55%
めぶきFG 213,284 89,325 41.88%
八十二銀行 209,160 48,331 23.10%
福岡FG 184,190 97,434 52.89%
西日本FH 145,862 85,498 58.61%
スルガ銀行 145,753 121,045 83.04%
広島銀行 138,263 60,995 44.11%
京都銀行 110,406 46,136 41.78%
七十七銀行 106,692 41,308 38.71%
東京スター銀行 71,107 32,482 45.68%

※①=貸出金利息/経常収益×100

 オーナーに救済策はあるのか?

では、収益源を失ったオーナー達を救う手段があるのか?

ざっくり・・・

① 他行借換 実現性:★☆☆

借入金と同等の金融資産を所有しているなど、余程の資産背景がなければ難しいかな・・・

また、借換時に高額な違約金を提示されるかも?

② 不動産の売却 実現性:★★☆

実勢価格より高い値段で購入しているので、売却しても借金を完済できないかも・・・

③ リスケ交渉 実現性:★★★

金利の引下げは厳しいと思いますが、毎月の返済金額を減らすなどの交渉余地は残されているかも?

と言った具合でしょうか?

この様に考えると、オーナーさん達が置かれている状態はかなり厳しく長期間、返済のあてがない巨額の借金を背負うことになるかもしれませんね。

 結論:安易に手を出さないこと

以上を踏まえ、私の最終的な結論は・・・

「会社員は安易に不動産投資に手を出さないこと」

本業の収入に対して借入金が巨額であり、 物件管理は人任せ、管理手数料が無駄に高額・・・

また、新築後10年~15年を経過した時点で物件の「大規模修繕」が必用となったり、「減価償却費」が目減りして、「空室リスク」が高まります。

更に、日本全体で人口が減少しているので明るい要素が実に少ない・・・

従って、会社員が不動産投資で楽して「不労収入」「副業収入」を得ることなど不可能!

小口分散投資が可能な「不動産投資信託」の方が余程、リスクが低くて合理的!!

と思ってしまうのが私の所見であります。

ブログを読んでいただきありがとうございました!

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